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新大統領とプーチン首相の力関係 |
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昨12月2日投票が行われたロシア下院選は、プーチン大統領を比例名簿のトップに据えた与党「統一ロシア」が3分2以上の議席を確保し圧勝した。これによりプーチン氏は今年5月の大統領任期満了後も権力を維持する足場を固めたといえる。10日に後継者に指名されたばかりのメドベージェフ第一副首相は、翌11日午後、「プーチン大統領に首相就任を要請する」と発表した。予め録画収録されたTVニュース用の演説だった。
42歳のメドベージェフ氏が治安機関との関係が薄いことも、選択要因の一つであったようだ。経済面でも、石油や天然ガスの利益に依存する現在のロシア経済に危機感を持つプーチン氏の、中印に負けないようハイテクやナノテク(註)と言った科学技術の発展に力を入れようとする方針に全く賛同していると言われる。また、同氏は外交や安全保障の分野での経験にも乏しいため、重要な政策は全てプーチン氏の全面的な指導下に置かれるのは火を見るよりも明らかである。傀儡政権の典型といえよう。
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時計の針を戻してはならない |
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ノーベル文学賞作家、ソルジューニツィン氏が「収容所群島」に書き留めた、血と恐怖により支配されたソ連邦が崩壊して16年のロシア。しかし、一部では、下院選は現政権が治安機関や国営メディアを武器に野党を押さえ込んだ結果である、と言われている。放火や殺人まで取りざたされる選挙戦は尋常ではない。
投票日翌日の3日、欧米の国際機関は一斉に下院選が公正なものではなかった、と批判の声を上げた。欧州連合(EU)の外交担当者は、「言論の自由や集会の自由が侵害された」。欧州安保協力機構(OCSE)と欧州評議会も、「民主的な選挙の基準に多くの点で合致していない」との声明を発表した。一方、これを受けてプーチン氏は同日、「国内外のロシアの敵」の存在を強調し、国民一体で対抗する必要性を訴え続けた。こうした冷戦時代を思わせる復古調的批判は、欧米との緊張を高めて行くことになろう。
また、今回の選挙では、英国亡命中の元情報将校リトビネンゴ氏が放射性物質ポロニウム210で毒殺された事件で、英捜査当局から容疑者とされ身柄引き渡しを要求されたルドボイ元KGB将校を、要求を拒否しただけでなく、極右政党・自民党から立候補させ、比例第二位で当選させた。欧米との認識のズレを象徴する事態を演出して見せ、ロシア国民の政権への求心力を高めようと努めた、と言われる。
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後継体制に向けた国際社会の駆け引き |
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米政権きってのロシア通といわれるライス国務長官は、ロシアを取り込もうとの意図からか、新体制を評価して見せた。その背景には、「欧州の火薬庫」といわれてきたバルカン半島の一角で再燃しかねないコソボ危機をめぐるロシアと欧米の覇権争いがある、とされる。
中国メディアも一層の友好関係を期待。ロシアの存在によって、中国も欧米からの民主化を廻る批判をかわせる上、世界の多極化を目指す外交で協調できるとの計算であろう。
ただ、対日関係では、直ちに北方領土問題を解決して平和条約を結ぼうと言う機運は生まれそうには無い。
プーチン路線がこのまま進むと、国内の民主化運動は空洞化し、民主主義という価値観をめぐる日米欧との溝は一層深まり、共有できるパートナーとして受け入れられなくなる危険を孕んでいると言えよう。
選挙の正当性自体が揺らぎかねない情勢の中で、3月2日、投票日を迎える。
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| (註)ナノテク:マイクロの1/1000の精度でコンプューターや医療機器の部品や装置を作り出す技術。高速通信・大容量コンピューター・無痛治療を可能にする。 |
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