【大久保】
それでは、今日は斉藤さん、忙しいところありがとうございます。早速、始めさせていただきたいと思います。高橋さん、よろしくお願いいたします。
【高橋】
手元の資料をざっと見てきまして、斉藤先生の話を直接聞く機会は初めてなので、どういう方かと調べてみましたら、なかなか立派なキャリアで、東京工大で博士号をとられて、学者なんですね。プリンストン大学に3年、客員教授をされた。それから、NASAとの交流を深め、月面基地の設計に携わった。非常にすばらしいキャリアの持ち主だと知って、今日はいい話を聞けると思っております。年のほうも昭和27年のお生まれですか。来年2月になると60になるんですね。お若いのですが、政治家歴は平成5年当選ですか。ですから、かれこれ20年近いというベテランです。
簡潔なレジュメを読んできましたけれども、おもしろそうです。早速お話をいただいて、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【斉藤】
今日は伝統ある公明文化協会のこの場に呼んでいただきまして、大変光栄に存じております。ありがとうございます。
党のエネルギー政策についてずっと携わってきました。今回の3.11原子力発電所の事故を受けまして、党のエネルギー政策を根本から見直そうという中で、山口代表から、斉藤を中心に党内で議論をしてまとめるようにということで、まだ議論の最中でございますけれども、どんな議論がされているかということを今日ご報告させていただきたいと思います。
当初、8月いっぱいに党の新しいエネルギー政策をまとめると、このように言っておりました。これは、自民党も民主党もそういっていたものですから、我々もそれに合わせて8月いっぱいにまとめるということで議論をしておりましたけれども、民主党が、政府の議論に合わせて民主党も結論を出すということで、来年6月に先送りしました。政府では、内閣の中に環境エネルギー会議、これは大臣が主体です。それから、経産省では長期資源エネルギー調査会、内閣府の中の原子力委員会、この3つがいずれも来年の6月をめどにまとめると。その議論に合わせて、例えばコストがどれだけそれぞれかかるのか、また技術的課題はどういうものが残されているのか等々、専門家のきちんとしたデータをもとに議論をするということですので、それに合わせて民主党も、また自民党も来年6月まで結論を先送りしました。ということで、我々だけ先にじゃんけんのパーを出す、じゃんけんをすることもないだろうということで、我々も先送りしたというのが実態でございます。
その議論を続けているわけですけれども、そうはいいましても、これまで8月、夏いっぱいにまとめようということで議論を進めてきた大体の収束状況がございますので、今日はその結果を簡単にご報告し、また私自身の考え方も申し上げたいと思っております。
まず、ほんとうに簡単なレジュメで申しわけないんですけれども、これは私の個人的なメモでございます。クレジットは入っておりません。現時点でこんな議論をしているという私の個人的なメモでございます。
【斉藤】
まず、これまでの公明党の基本政策ですが、1970年代の前は、原子力に対してかなり否定的でございました。社会党とほぼ同じスタンスだったかと思いますが、オイルショックを受けまして、石油代替エネルギーとして原子力を容認するということで方針転換をし、そして現実に経済成長に一定の役割を果たしてきたということを認識しております。
しかしながら、1986年のチェルノブイリ原発事故、それに先立つ、たしか1970年代後半だったかと思いますが、スリーマイル島の事故、特に一番大きかったのは86年のチェルノブイリですけれども、この事故を受けまして、原子力を過渡的エネルギーと位置づけました。
つまり、将来的には太陽・水素系エネルギー社会を目指す。これはBに書いておりますけれども、ここで言う太陽というのは、再生可能エネルギーという意味です。すべて再生可能エネルギーの大もとをたどっていくと太陽エネルギーに行き着くという意味で太陽。そして、移動系については、今、ガソリン、化石燃料を使っておりますけれども、これも将来的には水素にしていくという意味で、太陽・水素系エネルギー社会、これが目指すべき社会であって、しかし、今すぐにそれは到達できない。また、この太陽・水素系エネルギー社会を目指すには、それなりの富が必要になってまいります。その富を生み出すという意味でも原子力は必要であって、その間の過渡的エネルギー、そしてその過渡的エネルギーと位置づけた上で、我が国のエネルギー安全保障も含めて、電源多様化ベストミックスという位置づけにしていたわけでございます。
【斉藤】
こういう中で今回の3.11東電福島原子力発電所事故が起こりました。この事故後のエネルギー基本政策の基本的な位置ですけれども、山口代表が、安全神話の中にいて厳しく問い直すことをやってこなかった、それが今回の事故につながった、謙虚に反省しなければならない。まさにこの謙虚な反省というところからスタートするということで、今議論を進めております。したがって、第1の我々の議論の原点は、国民の安全・安心を最優先するエネルギー政策への見直しということになります。
しかしながら一方で、エネルギーの安定供給というのは、国民の経済、福祉の基本でもあります。この国民の安全・安心というのは、事故に対する安全・安心もありますし、かつ経済の安定的な運営という意味の安全・安心もあるということで、したがって、次のような考え方でこれからエネルギー政策の根本をとるべきではないか。つまり、社会保障の維持に必要な年率2%程度の経済成長、これは実質的な経済成長です。年率2%程度の経済成長を図りながら、エネルギー消費量は増加させない。これまで見ますと、エネルギー消費量はまさにGDPの伸びと全く相似形でした。そういう社会モデルから、経済成長はするけれども、エネルギー消費量は増加させない、こういうモデルに転換する必要があるということでございます。
そして、その次ですけれども、ここはいろいろ大きな議論がございますが、CO2排出抑制目標、すなわち、これは我が党の排出目標ですけれども、2020年で1990年比マイナス25%、2050年でマイナス80%という二酸化炭素排出抑制目標は堅持し、これを達成すると。基本的に、こういう立ち位置でエネルギー政策を考えていこうということでございます。
この目標を達成させるために、
@まず省エネの徹底です。これは、年率2%の経済成長をするということは、エネルギー使用量はある意味で2%伸びるということかもしれませんが、それ以下にエネルギー使用量を抑えるということと、それも省エネという意味ですし、それからエネルギーの使い方を効率化するという意味でも省エネでございます。つまり、2020年までにGDP当たりのエネルギー効率を30%アップしますと、この年率2%の経済成長を図りながら、エネルギー消費量は増加させない。さっきちょっと間違ったことを言いました。年率2%程度の経済成長を図りながら、エネルギー消費量は増加させないように、させないんです。そのためには、省エネを徹底して、2020年までにGDP当たりのエネルギー効率を30%アップさせるということでございます。
それから、これとは別に、A再生可能エネルギーを加速度的に導入する。2030年に電力の30%を我々は目標にしております。実際、それは可能だということを明確に国民の皆さんに説明しなくてはいけないと思います。
それから、ある意味では、Bここ10年間はこれが最も大事かと思いますけれども、化石燃料発電を高効率化する。いわゆる石炭火力、天然ガス等でございます。天然ガス転換、コンバインドサイクル、石炭火力効率化等で化石燃料発電を高効率化する。この@、A、Bを徹底して行って、原子力への比率、ある意味では、この@、A、Bが達成した部分、原子力を減らしていける。逆に、これを最大限、別の言い方をすれば、これを最大限努力して、足らないところは原子力に頼らざるを得ないということで、エネルギーの安定供給ということを確保しながら、ある意味で徐々に原子力への依存を減らしていく。別の言葉で言うと、脱原子力依存ということになろうかと思います。
【斉藤】
電力の安定供給を確保しつつ、上記@からBを進めることによって、原子力発電への依存を段階的に減少させる。そして、原子力発電の安全性向上のため、安全基準を最新の学術的知見を入れて高度化する。基準を満たさない原子炉や高経年化した原子炉は廃止する。ここまではコンセンサスがとれておりますが、原子力発電所の新設を認めるか認めないかということについては、まだ党内、議論が二分されております。
私自身は、新設を認めてもいいのではないかという立場に立ちます。片一方、一切それを認めるべきではないという意見もございます。認めるべきではないという意見は、これを認めてしまえば、今言った@、A、Bの努力のインセンティブがなくなるというのが1番かと思います。認めるべきだという意見の主体は、私もその立場に立つんですが、やはり日本の原子力の技術は、今やフランス、日本、ロシアと。アメリカは、日本の技術が基本になっていますので、ロシア、フランス、日本のここまで培ってきた技術、私も技術屋の端くれですから、その技術を日本が失うというのはもったいないと。現実にプラントの建設や運転がなければ、技術というものは保たれないし、人材も確保されない。将来、何があるかわからないわけですから、最低限の原子力発電所は保っていてもいいのではないかという意見、この2つがぶつかっております。
先日、代表質問では井上幹事長は、この2つの意見の真ん中を言いまして、新設は基本的には認めないという表現で、我々のところは基本的には、つまり、例外はあるというニュアンスで代表質問でこの間、井上幹事長は国会で演説しております。
それから、核燃料サイクルですけれども、核燃料サイクルについては、再処理、高速増殖炉路線を見直し、使用済み核燃料を直接処分、ワンスルーを検討する。現在保有するプルトニウムは、MOX燃料として軽水炉で消費する。最終的にはゼロにする。また、国際管理の方途も検討するということでございます。
現在、高速増殖炉「もんじゅ」はトラブル続きで、技術的にも大変難しいということです。この高速増殖炉が実現すれば、確かに1燃料を燃やせば1以上の燃料が生まれるということで、ある意味では永遠に資源問題から解放されるわけですけれども、しかしながら、冷却剤にナトリウムを使うということで、非常に技術的、安全的にも難しい、大きな困難があるということが言われております。であるならば、高速増殖炉については、アメリカもロシアも、基礎研究は続けておりますが、基本的にこの路線を放棄しました。フランスもスーパーフェニックスを閉鎖して、この路線を基本的には放棄しました。したがって、日本も、そういう意味では、日本だけが研究を続けているわけで、ある意味では世界の期待もあるわけですが、これについては、やはりやめる。
高速増殖炉を使わないということであれば、再処理をする意味がありませんので、再処理しない。再処理しないということであれば、使用済み核燃料は、現在、アメリカがとっている政策、すなわち再処理しないで、そのまま廃棄物として地層処分するという、これをワンスルーと呼んでおりますが、こちらのほうに転換したほうがいいのではないかというのが党内の大きな主流でございます。したがって、「もんじゅ」は閉鎖と。
しかし、これに対して反論もあります。今、非核保有国で再処理が認められているのは日本だけでございます。ある意味では、日本の平和利用の努力が世界から認められて、核兵器の原料となるプルトニウムを生産する、そういう施設を持つことが国際社会から認められている。これは大きな特権であって、これを放棄するのは国益を損なうのではないか。また、日本が将来、核武装するなどとはだれも思っていないけれども、そういう力はあるんだぞということ、つまり、再処理工場を持っている。そういう力はあるんだぞということを国際社会に示すことというのは、これは日本にとって決してマイナスではないのではないかという議論もございまして、まだまとまってないというところが現状でございます。
それから、4番目の原子力行政の見直しですけれども、これは我が党のマニフェストにも書いてあります。民主党のマニフェストもこうなっているんですが、独立性の高い国家行政組織法上の3条委員会、アメリカの原子力規制委員会、NRCに倣った、そういう組織を持つというのが基本的な考え方でございます。ところが、今、民主党政権は、この3条組織ではなくて、環境省の外局に原子力安全庁を置いて、推進は資源エネルギー庁、規制は環境省の外局の原子力安全庁という形で準備を進めて法案を出してこようとしております。民主党自身が自分のマニフェストに違反したことをやっているんですが、これをどう評価するかということで、大変悩ましいなというところでございます。
我々は、NRCをつくり、そして原子力の推進については、これを経産省、資源エネルギー庁から離して環境エネルギー省に持っていくという案をつくっておりましたが、ここで言う環境エネルギー省に持っていくというのは、推進を環境エネルギー省に持っていく。今の政府案は、規制を環境省に持ってくるということですので、根本的に違います。
それから、世界有数の地震国として、世界で最も厳しい安全基準と体制を目指すということも、国民の理解のためには必要であろう、このように思っております。
あと、その他といたしまして、5年ごとにやはりこのエネルギー政策、エネルギー供給計画の見直しを行うという見直しの考え方、それからやはり何といいましても、再生可能エネルギーを爆発的に増やしていくために、蓄電、それを有機的に結ぶスマートグリッドを普及させなくてはいけないと思っております。この蓄電施設としては電気自動車がいいのではないか。これは、自動車の95%はとまっているそうです。とまっている自動車を蓄電装置として使うということ。そして、それを有機的にスマートグリッドで結んで、今必要なところに電気を送るということができないか。これはICT技術が必要になってきます。そのためには、電力及び送電網使用の自由化。これは、電力会社が最も嫌がるところで、今の地域独占、垂直統合と言っておりますが、発電も送電も垂直統合、同じ会社が持つという今の体制を維持するということが電力会社の至上命題のようです。
電力会社の人と話をすると、原子力発電は離してもいい。それは例えば国家が保有するということにしても、私たちは構わない。ただ、この送電分離だけは何としても阻止したいというのが電力会社の基本的な考え方のようでございまして、我々のところは、電力及び送電網使用の自由化を進めるという、ちょっとあやふやな言い方にしておりますが、私も中国地方の議員ですが、やはり中国地方、中国経済団体連合会のトップは中国電力の会長が務め、エスタブリッシュメントのトップに位置するのが各地域の電力会社ですので、現実問題、なかなかそこを敵に回せないというところはありますが、逆に、電力会社からそんなに公明党は恩恵を受けているわけでも全くありません。会社側は自民党ですし、労働組合は民主党です。少しはくださいよと、選挙で応援してくださいよというんですが、ほとんど応援はいただけませんので、そういう意味では、自由な立場で物を言っていいのではないかということで、発送電分離まで書くべきだという強い意見も、選挙で応援してくれるというんだったら、少し考えようかなというところでございます。
【斉藤】
あと、ここに書き忘れたんですけれども、原子力建設の輸出についてどう考えるかというテーマがございます。これについては、実はまだ党内が二分されておりまして、反対論は、脱原子力依存と言いながら、その原子力を海外に輸出するというのは自己矛盾ではないかという意見。それと、やはりそうはいっても、これから韓国、中国、ロシア、インドを中心にたくさんの原子力発電所、100を超える原子力発電所が建設されます。そういう原子力発電所に日本の技術は、地震国の原子力発電技術ですから、非常に高度なものがあって、その高度なものを使わせるということも、地球全体の安全を考えたときに必要ではないか。また、日本経済の国際競争力や輸出ということを考えても、ここを捨てるのはもったいないという意見と両方ございまして、固まっていないところでございます。
以上、そんな議論をしておりますけれども、大体、ここに書きましたぐらいは党内のコンセンサスとして得られているのではないかなという状況でございます。
以上、ご報告を申し上げまして、あとはいろいろなディスカッションをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【高橋】
質疑に入る前にちょっと質問なんですけれども、今のお話で、最終ゴールである脱原発にたどり着くのは2030年ということではないんですね。
【斉藤】
はい。
【高橋】
2030年、電力の30%とありますね。ということは、ほかの70%は再生可能エネルギーであてがうというんじゃなしに……。
【斉藤】
ここで電力の30%というのは、再生可能エネルギーが30%です。
【高橋】
そうですか、再生可能ね。ということは、ゴールは何十年後ぐらいですか、脱原発が実現するのは。何十年か十何年か。
【斉藤】
ここも非常に議論があるところでございます。新設を認めないということにいたしますと、大体1つのプラントの寿命は40年と言われております。したがいまして、40年後には基本的にゼロになるわけです。この新設をどう書くかということとも関係しますが、これを例えば20年後、つまり2030年と明確に時期を区切って原発をゼロにしますと言うべきだという意見もあります。逆に、新設はやはり日本の原子力の技術を保っていくためにも、ある程度は、例外的かもしれませんけれども、これを認めるべきだということになりますと、いつまでたってもゼロにはならないわけです。
そういうことも含めて、しかしながら、大体、現在の、今、建設中のものについては、これは認めようと。これから全く計画が始まるものについては、これは基本的に新設を認めないということですけれども、現在、計画が進んでいるものについては、これは認めざるを得ないのではないかということですので、そういう意味では、その原子力発電所が寿命を終える40年後、2050年に、例外の二、三の基はあるにしても、基本的に原子力は発電の柱ではなくなっているという状況。ですから、20年から40年。
【高橋】
わかりました。ついでに、恐縮ですが、質問、もう一つ。今のお話の関連質問ですけれども、再生可能エネルギーを加速度的に導入するわけですね。ものすごく財源が必要ですよね。一方で、今のものを維持すると、寿命が来るまで、40年。それから、これからつくるのも例外的には認めるとなると、すごい財源が必要ですね。だから、思い切って、脱原発というスタンスがはっきりしてるなら、財源を考えると、両方やる、現状は維持しつつ、少しずつ減らしていく。しかし、新規、新しいエネルギーの開発にすごいお金をかけなきゃならんという、両立するんでしょうか、よくわからないんですけれども。
【斉藤】
再生可能エネルギーにお金をかけるためにも、今ある原子力は有効にフルに使ったほうが一番いいと思います。やはり、既に新設された原子力発電所、その発電コストが一番安い、これは確かです。例えば今これだけ原子力発電が使えなくなって、今、燃料費で一年間3兆円、化石燃料に余分にかかると言われております。1年間当たり電力料金、国民全体が払うのは15兆円です。その15兆円がある意味ではすべてを含めた電力コストと言っていいかと思いますけれども、これが現在、原子力発電が30%程度が10%程度になっている、それだけで、LNGを、今ガス発電、小さいのを空き地にどんどんつくって、計画停電にならないように電力供給を拡充しておりますが、それに余分にかかる燃料費は年間3兆円。もっと来年あたり増えるだろうと言われております。そういう意味では、今ある原子力をフルに稼働すれば、そのお金は節約できるわけです。そのお金を再生可能エネルギーの研究開発に注ぎ込む。だから、再生可能エネルギーにお金を注ぐためにも、使える原子力はフルに使ったほうがいいと考えております。
【高橋】
わかりました。
では、座長からどうぞ。
【西崎】
非常に見事な基本政策をつくっていらっしゃると評価します。それで、問題は、脱原発か縮原発かとか、いろいろ議論はあるんですが、まず今の現状は、原発は全部停止しているわけですね。この基本政策でいくと、環境エネルギー省の新設とか、そういった監督規制を強化しながら、原発は再開することになるわけですね。今停止中の原子力発電所を再開するということになると、おそらく利害が相反すると思うんですね。つまり、地域の一般市民は脱原発、だけど、地域経済から見ると、再開してほしいという。そうすると、これは公明党として、ある時点で環境省、あるいは監督庁を全部クリアした上でオーケーと、再開せよということをお出しになるのでしょうか。
それからもう一つは、再生可能エネルギーの問題ですが、今日のご説明でも風力、火力などが出ていますけれども、日本の場合はさらに、例えばメタンハイドレートとか、これは日本列島の海底深く、250メートル以上の海底に200年分のエネルギーが蓄積されている。日本は資源小国と言われながら、エネルギーについては、潜在的なエネルギー大国である。心配する必要はないよということだろうと思うんですね。
そういった点から、日本経済の長期成長、実質で1%から2%成長という路線は、エネルギー面からは保障されていることだろうと思うんです。質問としては、停止中の原発再開を今の政府で言い出せるかどうか。公明党として出されるのか、その辺、お聞きしたいと思います。
【斉藤】
再稼働については、これを認めざるを得ないと思っております。その条件は、現在の安全基準、そのままでは当然、ああいう事故を起こしたわけですので、論理的にも今の基準に合致しているから、再開オーケーですとはなかなか地元の方もご納得いただけない、これは当然だと思います。
我々が考えておりますのは、少々時間がかかって、一時的に苦しいときを日本は過ごさなくてはいけないかもしれませんが、基本的に現在、政府が事故調査委員会を持っております。その事故調査委員会が今回の事故の原因を報告する。確かに、津波でああなったということですが、どうも津波の前に、例えば2号炉については、地震でかなり大きな損傷を受けていた可能性もあるということで、もしそうだとしたら、その点について対策が練られなければ、とても再稼働は認められないわけです。
したがって、今の事故調査委員会、実は国会にもできましたので、政府の事故調査委員会と国会の事故調査委員会、2つありますけれども、少なくとも政府の事故調査委員会が原因を究明し、報告し、それを受けて、それに対しての対応もきちんととって、新しい基準をつくり、その基準に合致する。かつ、これは菅さんの置き土産のようなものですが、ストレステスト、これもどれだけ効果があるかは私もよく理解していませんが、少なくともしないよりはいいというものだと思いますので、このストレステストもちゃんとやるということで、地域住民の方の納得がいただけた上で、再稼働を認めるという立場でございます。
【高橋】
どうぞ、歌川さん。
【歌川】
今まで、政党だけじゃなくて、いろいろなところが出した、3.11以降のエネルギー政策、または“それらしきもの”を見聞しましたが、今日のお話は最も論理的にしっかりしている、との印象を受けました。
【斉藤】
ありがとうございます。
【歌川】
プレスも含めて、日本ではあの事故以後の日本のエネルギー政策をどう進めるか、その議論はかなり情念的なんですよ。情念はとても大事なことではありますが、あまり情にサオさすと、とんでもないことを性急にやってしまうかもしれないと、危惧していました。その点、斉藤構想は、あくまでクールであり、科学的知見にもとづいた総合的なエナジーミックスの御提案だと思います。びっくりしました。公明党ってそういうのは苦手だと思っていたのですが、今日のお話は極めて合理的でリーズナブルで、ロジックも通っているし、同時にヒューマンなので。
問題はこの、エナジーミックスの基本モデルを、どのように実行可能なものに仕立て上げていくかですね。斉藤さんは、「性急に原発をやめるわけではない」とおっしゃる。その通りです。でも、新規に原発を作らないとすれば、2050年には、既存の原発はおおむね寿命が来るんです。私は「条件さえ許せば、若干の新規原発建設は、やるべし」の論者で、その点では斉藤さんと、立場が若干異なるかもしれません。しかし基本的には原発や化石燃料への依存度を大幅に下げたエネルギーのベストミックスを目指すべきだ、という点では同じ志を持っています。
エネルギー消費と発電の長期の時間割を作って、それぞれどういう数値を入れるか、そこが勝負です。風力はどのくらいとか、地熱発電はどのくらいなのかなとか、原子力も残りますから、水力だってあるわけだし、石油もまだあるんですよね。天然ガスはもっと使わなきゃいけないかもしれないし、そういう数値を、入れる。その数値を国民のコンセンサスの中でつくっていくということが大事なのではないでしょうか。数値が示されれば、私も目の子算で、それでは太陽熱をあてにし過ぎるとか、そんなに風力に期待しちゃいけませんとかいう議論も可能になります。またスマートグリッドとか、電力会社の送・配電の分離とか、エネルギー消費の効率化も大きな課題になるでしょう。
でも斉藤さんの示された今回の公明党の総合的なエネルギーミックス政策は、思想的にも科学的にもすぐれたものだと思います。これをベースに建設的な議論を進めたいですね。
【斉藤】
ありがとうございます。
【高橋】
井堀先生、どうですか。
【井堀】
私も今日のお話は非常に現実的にしっかりしたエネルギー政策だと思います。特に政党のエネルギー政策としては、先ほど歌川さんが言われたように、今回の福島の事故以後、多くの政党・政治家で相当感情的に反原発にシフトしている傾向が強いわけです。けれども、日本のエネルギー政策を中長期的に考えるときに、やはり原発のデメリットと同時に、メリットもやはり考えていかないと、日本の経済、あるいは社会全体が整合的に回っていかないので。
その意味で言いますと、先ほど再稼働の話が出たのですが、今の政治的な雰囲気というのは、再稼働はとてもだめですね。たしか今54基ぐらいあって、来年の春ぐらいには全部、このままいくととまってしまって原発はゼロになるわけですよね。その後、再稼働させるには、たしかに福島原発の事故の検証を受けて、新しい、より強固な最新の安全基準に変えるというのは、定性的にはそうです。けれども、具体的にどこまで安全基準を強化すれば、政治的に日本の国民の多くの方の福島への非常なマイナスイメージを受けて、原発を再稼働する方向に行くのか、あるいは自治体関係者の合意を得られるのか、非常に難しいと思います。
特に、最初に再稼働を実施する自治体に関しては、相当なプレッシャーがあると思います。定性的には、安全基準を高めた上で、それをクリアーすれば、当然、再稼働すべきだと思うのです。どのあたりまで安全基準を高めれば納得できるのかという具体的な見込みというのがございましたら、そのあたりどうでしょうか。そこは非常に、定性的には安全基準を見直すのはもっともらしいのですけれども、具体的に再稼働に向けて動けるのかどうかというのが若干心配なのです。
【斉藤】
一番難しいところです。どういう原因、事故調査委員会の結果が出てくるかわかりませんので、ある意味で大変どうなるのかわからないというところがございます。
どんな結果が出てくるかわかりませんけれども、例えば津波が原因だったということであれば、津波対策や、津波が来たときのいろいろな安全装置の冗長性で対応できる。2号炉で心配されているように、揺れで、もし基本的な機能が損傷しているということであれば、それに対しての対応で、これはかなり時間がかかるかもしれない。先生おっしゃるとおりなんですが、ここまで国民に原子力に対して否定的な印象を与えてしまった、ある意味でまた信頼を失ってしまった。その信頼を取り戻すためには、ゆっくり構えるしかないと。大丈夫だからやらせてくださいといってやったのでは、その信頼は回復されないだろうと。日本経済として少々苦しいときを過ごすかもしれない。
だけれども、やるべきことはきちんとプロセスを踏んでやりましたと。2年かかるか3年かかるかわかりませんが、これだけは全部透明にして、オープンにしてやりましたということでなければ、失った信頼の10分の1も取り戻せない。それをやったからといって、失った信頼の半分も取り戻せないと思いますけれども、そういうプロセスが今の日本には必要なのではないかなということで、例えば揺れでもこれだけ基本機能が損傷したということが事故調査委員会でわかれば、それに対しての徹底した、52基、全部それに対応しなきゃいけない。そうすると、お金もかかる、時間もかかるかと思いますが、それをやって初めて、ここまでやっているんだったら、日本経済も大変になってきたし、いいか、国民の皆さんの理解を得られるんじゃないかなという気がしております。
ただ、いつも心配なのは、資源を持っている中国、ロシアがその資源を温存して、エネルギーの中核を原子力にしていこうとしている。そういう国と日本は競争していかなきゃいけない。果たして競争になるかどうか。資源も何も持たない日本が原子力をストップさせて。だから、信頼を回復するために時間がかかるけれども、その間に日本そのものがだめになっちゃうじゃないかという心配はあります。だから、そことの兼ね合いだと思うんですけれども、ここはある意味で、政治家のリーダーシップというのがほんとうに必要なんだと思います。
【井堀】
あとは、福島の事故、確かに非常に極端に悪いケースが起きてしまった。けれども、それがほかの原発のところで起き得るような、要するにどのくらい普遍性がある事故なのかどうか。福島の事故がたまたま不幸な事態がたくさん重なって、結果としてああなったということであれば、ほかの原発に関しては、そんなに極端に安全基準を強化しなくてもやっていけるかもしれないわけですね。一たん確かに不幸なことが起きれば、当然それは教訓とすべきですけれども、あまりにも極端に高い基準をつくってしまいますと、本来、必要なものまで運転できない。
今回でも、女川の原発は地震・津波の直後にちゃんと、一応とまったわけですね。危ないところまでいったわけですけれども。必ずしも大きな地震が来ても、津波が来ても、ある程度、事前あるいは事後的な措置がちゃんとしていれば、福島だってひょっとしたら、もう少し低いレベルの事故でおさまっていたかもしれない。そのあたり、もちろん悪いことが起きたので、しようがない面もあるんですけれども、あまり福島の教訓を極端な形ですべての原発に当てはめようとすると、なかなか再稼働や原発の活躍が大変かなという気もしますが。なかなか難しいところなので。
【斉藤】
地域住民の方が、しかし、この辺のことをわかってくださらないから、ここはコストと時間がかかっても、それをやる以外、信頼回復できないのかなと。
ただ、それによって原子力のコストがばか高くなれば、それは原子力を動かす理由はなくなるので、また別なことを考えなきゃいけませんけれども、私たちの子供や孫に豊かな日本を残す上で、中国やロシアが安い原子力発電で、安い電力の基盤を強化していく中で、日本が競争力を保ち続けるという国をどうやってつくっていくか。ほんとうに今回はそういう意味では不幸な出来事だったと思います。
【高橋】
私は友人からメモをもらいまして、関心が深くて読んだんですけど、その中にこういうことか書いてあるんですね。福島第一原発の保守管理に長年携わった人が訴訟を起こすんですね。何度も何度も敗訴するんですけれども、その結果、原告団の幹部の人らしいんですが、自分が放射能による汚染で肺がんになって、とうとう亡くなっちゃうんですね、もちろん震災が起こる前ですけれども。そのときに、自分の死期が迫るということに気がついて、遺書として書き残したメモというものを私は読ませてもらったんです。
そのメモによると、自分は福島第一原発の危険な保守管理のために、一般の作業員を使って一生懸命頑張ってきたけれども、これは危ないんだということをわかってて、したがって訴訟を起こした、しかし敗訴した。こういう人なんですけれども、そのメモによると、最初に導入したときの技術者の設計は、かなり高い基準で、安全を金と暇と人手をかけなきゃだめだよと、そういうことがきちんと書いてあるというんですね。それを東電が、そんな金がかけられるかと。設備投資だけで莫大な金がかかるのに、維持管理のためにそんなに金と暇と手間をかけられるわけないじゃないかと偉い人が言って、どこか知らないけど、外人の人ですよね。結局、現場の技術者は、もうちょっとしっかりやらなきゃだめですよと叫び続けてきたけれども、やってなかったというんですね。したがって、これは人災なんだと。人災というのは、亡くなった後ですけれども、人災が起きたのがかなり根拠があるんですね。
それから同時に、監督官庁である経産省が、これは原発の推進派でしょう。監督官庁が推進派の巨塔ですよね。それに原子力安全委員会というのがそこに管理されているわけですよね。その下に保安院というのが突如出てきた。そうすると、ここに書いてあるとおり、独立した別な機関を国家機関にしないと、推進派に管轄されてれば何にもできないですよね。したがって、斑目さんというのはまだ委員長なんですか。まだ責任とってやめてないんですかね。
【斉藤】
はい、安全委員長。
【高橋】
あれ、でたらめ春樹というんでしょう。どうして、でたらめ春樹かというと、浜岡原発の訴訟のとき静岡地裁で、そのときに中部電力側の証人として法廷に出たんですね。そのときに、原発の重要諸設備が、複数が同時に故障を起こすという事態は想定していないのかと原告団から聞かれて、全く想定していませんと胸張った人なんですね。
【斉藤】
想定する必要がないと言った。
【高橋】
必要がない。だから、全くでたらめ春樹なんですよ。それから、菅直人が視察に行った。おれは東工大で物理だから、原発は詳しいんだって。それで同乗して一緒に行ったのは斑目春樹なんです。そして、菅が「水素爆発が起こる危険性はないのか」と聞いたら、「全くありません」と言ったその8時間後に水素爆発が起こっているわけですよ。こんな男が原子力安全委員長なんていうのはおかしいんですが、どうしてまだやめさせてないんですか、国会は。質問です。
【斉藤】
まず、国会同意人事なので、国会があれはやめさせるべきだと決めればやめさせられるんですね。原子力安全委員会の委員というのは国会同意人事ですので、確かにやめさせようというのはどこにもまだ起きてないですよね。私も気がつきませんでした、確かに。
【高橋】
レポートを出させる責任はあるかもしれないけど、そんなでたらめなやつがもう1回レポートつくったって、これまたでたらめに決まってるんですよ。だから、それをまってとか、そういう必要はないので、責任を東電にもとらせると、さかのぼって。コスト一点張りで、必要な決まっている基準を守らなかったという、これは人災ですから、人災の面がかなり強いですから。そういうことをやれば、国民もある程度、納得するんですよ、再開することについても。しかし、全然やってないからね。高給をむさぼってるわけでしょう、相変わらず。そういう事態で54基のうち4つですか、まだ50あると。それを順次、原子力安全委員会の報告に基づいて解除していくなどという話になると、あなたがおっしゃるとおり、なかなか世論は賛成できないんじゃないかと。
【斉藤】
事故調査委員会は、原子力安全委員会とは全く別に畑村先生という、東大の、この方は機械工学がご専門だったと思いますが、失敗学とか事故調査のオーソリティー。この方が今委員長になって事故調査を検討しておられます。かなり厳しい目で見ていただいているんだと思いますが、しかし、政府の中の事故調査委員会なので、政府のやったことを政府の中の委員会が調べるのはいかがなものかということで、国会にまた調査委員会を置いて、ある意味では2つの面から調査するということになりました。
【高橋】
もう一つ、その監督官庁である経産省、昔の通産省、時々、査察、審査に行くわけですね。そうすると、その担当者が全部、ほとんどが素人で、原発のことを全然知識がない人で、何も知らないんでよろしくと、教えてくださいということを現場で、東電の社員で現場を必死になって保守する人に言うというんですね。それが遺書の中に書いてあるんですけどね。
西山審議官というのが最初、保安院のスポークスマンだったでしょう。それはいつの間にかいなくなっちゃったけど、その人は就任直前までTPPの担当だったらしいですな、経産省の官僚でね。だから、原子力のことなんかほとんど知識ないんだというんです。
【斉藤】
あの方は事務官の方。
【高橋】
だから、そんな人がスポークスマンとして出てきて、記者団の質問に何も答えられない。それから、調べますとか、存じませんというようなことを言って、しかもものすごく楽観的な見通しを言いましたね。それは次々と事実として覆るわけですけど、そういう責任ある部署にある人が何も知らない人で、TPPの担当官だったという人をまたスポークスマンにするという保安院もね。だから、保安院というのはもう全員、あほうなんだなんていう、ほとんどの人がみんな素人だったんですね。この間まで農林省からこの春の異動でというのがごろごろいるというんですよ。ということは、そんなことでよく保安院なんて名乗っていられるなと。冗談ですけど、保安院全員あほと、逆さまに読むとそうなるんですって。安全保安院というのは、保安院全員あほ。そういうもう笑えないような冗談がちまたに出回るぐらいひどいんですよ。
これは人災の側面がかなりあるんで、私も今の斉藤先生のを基本的に妥当な考え方だなと思うんですけれども、相当きつく官庁やあれを締め上げておかないと、それから、制度もしっかりしないと、また、ほとぼりが冷めるとこういう第2の福島とか、そういう大惨事も起こりかねない。そういう連中がいっぱいいるわけですから、監督官庁もでたらめ、東電の上層部も金かけるなと。これは改まっているかどうか、そういうところにメスを入れていただきたいと思います。
【西崎】
マスメディアの責任も非常に大きいと思うんです。僕も共同通信で経済担当していたときに、電力担当記者は極めて東電寄りなんですね。大体電力料金はかかったコストを全て料金に転化できるシステムになっているんですね。
【斉藤】
総括原価方式と言います。
【西崎】
発電所見学のプレスの接待費用も入っている。マスメディアが電力、特に東電に非常に甘かったということは反省材料だと思います。
質問ですが、今の電力は地域独占になっている。しかも送配電は一体化されている。この提言の中に、電力及び送電網使用の自由化を進めるという、私も大賛成ですが、東西の料金体系の違いとか、いろいろ問題はあるんですが、自由化ですね。送配電の分離は法案で、公明党として推進されるということですか。
【斉藤】
はい。今、50キロワットで線が引かれておりまして、50キロワット以上については一応自由化されているということになっています。50キロワット以上使う、うちの工場では50キロワット以上使うということであれば、全国どこの電力会社、もしくはIPPと呼んでおりますが、いわゆる発電だけやっている会社があります。そういう会社を買うと。その電気をここまで引っ張ってくるために、その間にある電力会社は安い費用でその電力送電線を使わせなきゃいけない。これは託送料と呼んでいます。こういうシステムになっております。
そういう意味で、例えばこの間、広島市のど真ん中にイオンが大きなモールをつくったんですが、その電力は九州電力から買う。中国電力の本社のすぐ近くのイオンが電力を九州電力から。九州電力は当時、原子力技術が高かった。中国電力というのは原子力比率が一番低いんです。そういう意味で、九州電力の電力料金は安い。中国電力の電気は高いということで、50キロワット以上使うものですから、九州電力と契約して、広島の人間はほんとうにがっかりしたわけですけれども、そういうことは可能になっておりますが、ちなみに、今はその中国電力が一番経営が安定しているんです。
【西崎】
当然、家庭用ですね。
【斉藤】
その50キロワットをいかに低くして、一般、我々家庭用でも電力を発電会社を選べるようにするというふうにすると自由化が進み、かつ、私は例えば自然エネルギー、風力で発電したこの電力がいいということが、それはかなり高い電力になるかもしれないけれども、そういうことが可能になってくれば、この再生可能エネルギーが爆発的に普及するであろう。そのときの障害になるのが例えば広島だったら送電網は中国電力が100%一手に持っているということが障害になってくる。そこをどう打開していくかということだと思います。分離するというところまではまだ言い切れていないんですが。
【歌川】
送配分離は大事なテーマです。地域独占の電力会社にとっては一番痛いところですけれども。
斉藤さん、私、今、ちょっと面白いことをイメージしているのです。それは何かというと、スマートグリッドの応用なんですけれども、例えば、我が家の自家発電の電力を自分の家のハイブリッドの車で蓄電します。それを東京電力に売ります。そこまでなら明日でも可能です。問題はその先です。それを東電に電力購入の商品券に変えてもらうのです。それを僕の関西に住んでいる人にお歳暮として贈りたい。これは事実上の発送電分離であり、九電力の体制を打破につながるのではないでしょうか。これは夢物語でしょうかね。ともかく、電気というのは発電しちゃったら貯めないと、どこかへ行っちゃっておしまいですから、いろいろな貯め方や交換の仕方があるのではないでしょうか?
次に、2050年のエネルギーのベストミックスは何なんだろう。それはそろそろイメージしなきゃいけないんじゃなかろうかと思うわけです。私は、条件さえ許すならば、つまり“国民の合意さえ取れれば新規の原発の建設はやるべし”との立場ではありますが、3.11以前のように原子力を安定的なエネルギー供給のコアに据えることは不可能だと思います。そうなったとき40年後の、エネルギーは分散型でやっていけるのだろうか、と心配になります。
そうすると、やはり化石燃料、石油ではなくて天然ガスがコアになるのでしょうか?風力、それは無理。風が来なかったらおしまいなのですから。風力はコアになりませんね。それから、例えば太陽光発電は面白い。でも再生エネルギーは無尽蔵だが“薄播き広幅”のエネルギーで採集コストがきわめて高い。水力はもうそろそろ終わりですよ。だからこそ八ツ場ダムなんて言い出したんです。だから、これに寄りかかることはできないというふうに考えますと、一体ベストミックスは何なんだと。石油会社のほうも、石油はほかのこと、つまり工業原料に使いたいんで、だんだん温存し始めています。そうすると、消去法で残るコアは天然ガスではないかと思ったり。その辺、斉藤先生はどうお考えですか。
【斉藤】
一応我々も提言する以上、先ほど2030年で総電力量の30%を再生可能エネルギーにすると言いました。そのときですけど、その30%というのは大体3,000億キロワット/時の電力量になります。我々が今考えておりますのは、太陽光で大体その3分の1、1,000程度。それから、風力で500程度、簡単に言うと木を燃やすバイオマスで400。
【歌川】
そうすると、8分の1ぐらい?
【斉藤】
それから中小水力、農水路を使う小水力と言われるやつです。これで300。それから、地熱発電、これが150、それから、大規模水力、今のダムです。ダムも水力ですから、自然エネルギー、ダムで800。大体3,000億キロワット。
【歌川】
そうすると、化石燃料は全部、もうなくてもやっていける?
【斉藤】
いえいえ。これは30%、残りの。
【歌川】
30%の中の話ね。
【斉藤】
30%の話。
【歌川】
ごめんなさい。
【斉藤】
残りの70%はほかから持ってこないといけなくて、そこにやはり化石燃料というのが主体になると思うんです、2030年、まだ20年先ですから。この化石燃料は、最も二酸化炭素排出量が少なくて比較的安価な天然ガス。日本に持ってくれば、LNGとして持ってくる天然ガスをいかに効率よく、また発生する熱もコジェネで、電気は電気で使う。発生する熱は今まで捨てていましたけれども、その熱も地域で暖房とか、いろいろな熱も使うというようなことで、化石燃料の効率化と。ただし、私は環境大臣もさせていただいて、環境大臣時代に、とにかく2050年、今から40年後ですが、二酸化炭素排出量を今の半分にしなければ世界は大変なことになります。世界で半分にするためには、先進国は80%減らさなきゃいけないということで、これはある意味で国際約束です。つまり、今の二酸化炭素排出量を5分の1にするということです。しかし、使うエネルギーはもっと増えていると思います。そうなりますと、基本的に40年後は化石燃料は使えないと。これは非常に難しい。だから、原子力というのが今までの論理だったんですが、その原子力が使えないとなると、あとは、いわゆるCCSと言われているカーボン・キャプチャー・ストレージ、これは出てくる二酸化炭素をキャプチャー、捕まえてストレージする、どこかに貯めると。要するに空気中に二酸化炭素が出ないようにする。こういう技術、これは非常に難しい技術ですけれども、こういう技術開発なくして、この先進国で二酸化炭素削減80%というのは無理になってくる。片一方で原子力使えない、片一方で二酸化炭素排出量を5分の1に減らさなきゃいけないという非常に難しいジレンマの中でこれからの日本は生きていかなきゃいけない。
【歌川】
寒いね。
【西崎】
2030年の段階で地熱はどのぐらい、5%?
【斉藤】
地熱は150ということですから、全体のエネルギー量の中では1.5%。それから、自然再生可能エネルギーの中では3,000分の150ですから、5%。
【西崎】
地熱発電は相当地下深く掘るわけですね。
【斉藤】
はい。
【西崎】
そこから熱湯を蒸気にしてタービンを回す。これは、相当なコストと準備が必要ですね。そうすると、2030年の段階でそれを計上されるとしたら、かなり早い段階から準備にかからなきゃいけないということですか。
【斉藤】
はい。ただ、地熱というのはもう既に非常に高温高圧なガス状のものになっているとわかっていますから。それを使いさえすれば、結構ほかの再生可能エネルギーよりも実用化が早いと言われておりますが、最大のネックになっているのがそういうポテンシャルのある地域が全て国立公園の中。国立公園の中でもそういう開発ができて、自然環境を壊すかもしれないけれども、そういう建造物ができてというような規制緩和が必要になってきますが、それはちゃんとやって、日本には地熱発電も結構いいポテンシャルがあると。
【西崎】
日本は至るところ、火山国ですからね。
【斉藤】
ただ、各地にある温泉組合が温泉が枯れるんじゃないか。
【歌川】
草津の湯が出なくなるんじゃないか。うんと掘ってね。これも、地球って太陽エネルギーが入ってくるところだから、そういう意味では、広い意味では地熱だって太陽エネルギーなんですけれども、あれでしょうか。ずっと深く掘ればマグマがあるじゃないですか。机上の空論だけど、それだけのものをうまく使ったら、幾らでもあるんですよね。
【斉藤】
それは、まあ。
【歌川】
だけども、そういうことをやると自然の摂理に反して、ぶっ壊れちゃうわけです。例えばマグマが噴き出したら、自分で地震、火山をつくるようなものですからね。だから、利用可能な範囲というのは、サイエンスが進歩すれば少し広がるんだろうけれども、幾ら頑張ったって全体の発電量の1.5%ぐらいしか2030年には賄えないんじゃないかという見通しなわけですね。
【斉藤】
そういうことです。
【歌川】
そうすると、きついな。今、先生のおっしゃった探査のカーボンのあれですね、やはりかぎを握っているのは。カーボン・キャプチャー・ストレージ、捕まえた炭素を貯めるんですね。
【斉藤】
貯める。二酸化炭素を空気中から。
【歌川】
そう。それ貯めると、これが勝負じゃないですか、サイエンスから言えば。結局、そういうことになりますね。
【斉藤】
今、そういう意味では、CCS技術については各国が競争して技術開発をやっていますが、なかなか量がないと。
【神崎】
今日はお忙しいところ、ありがとうございました。化石燃料とか、原子力にかわる新しい主要なエネルギーというのはないものかどうかということなんですけれども、例えば熱核融合エネルギーですね。ITERで、これは2027年に運転をめどに準備が進められているようですけれども、専門家によれば、早ければ2030年に実用化できるんじゃないか。遅くとも2050年には実用化できるという方もいらっしゃる。これは核廃棄物もほとんど出さない。これは注目していいのかどうか。どうごらんになりますか。
【斉藤】
いわゆる核融合で重水素と重水素を核融合させるとヘリウムになるんですが、そのときに莫大なエネルギーが出ると。太陽で行われている核反応、これを使おうというのが神崎先生がおっしゃった国際熱核融合プロジェクトです。核分裂はウランという重たい原子核が二つに核分裂する。この割れたものがすごい放射能を持っているわけです。核融合は水素と水素が一緒になってヘリウム。ヘリウムは安定した、放射性物質でも何もありません。したがって、固有安全性と言っています、基本的に安全だと。
あと、燃料注入をやめれば、核反応はすぐとまるわけですから、これも暴走することがないということで、固有安全と呼んでいます。将来的には非常に大きな、燃料も水素ですから。厳密に言うと重水素と三重水素ですけれども、そういうことですから、たくさんあるということで、高速増殖炉よりも、ある意味では、この核融合炉を実現すれば、まさにエネルギー問題から解放されると言われています。
ある意味で遠い将来には必ず実用化されていると思いますが、これまでの核融合の研究の歴史は、10年研究すると実用化が20年延びると言われています。それは実用化の難しさがわかって、まして、正直言って30年の実用化というのはないと思います。今、フランスのカダラッシュというところに、国際協力でITERという熱核融合炉をこれから建設するわけですが、それが動き始めて実験してデータが出るのが2030年ごろですので、これはまだまだ実際に実用化して電気を生み出すのはもっと時間がかかるのではないかと。だから、そのつなぎを。
【歌川】
つなぎですか。
【斉藤】
私、プリンストンに3年間いましたのは、実はプリンストンプラズマ物理研究所という、まさに核融合の研究所にいましたので、私の直感からしますと、実用化できるのは2100年ぐらいだと。
【歌川】
近いですね。近いじゃないですね。
【斉藤】
近いか……。
【歌川】
そうなんですか。太陽を捕まえることができるわけだよ、そのとき。太陽エネルギーをつかめるということですか、これは。
【斉藤】
はい。そういう意味では。
【歌川】
近いですね。100年しかありません。
【斉藤】
その間、必要なエネルギーをどうするかということですね。
【歌川】
第1回政府サミットというのは1975年にフランスでやったんです、ランブイエです。当時の三木内閣が高速増殖炉の話を持っていったんです。それを三木さんは。そうしたら、そのときの議論では、高速増殖炉はどうも増殖しないと。副作用が多過ぎると。さっき言ったようにナトリウムの話です。あれはパンダだ、全然子供を産まない。ということになってしまった。それよりも、はるかにまだ核融合のほうがフィージブルである。問題はフィージビリティの問題なんです。まだフィージブルであるというふうに理解してよろしいですね。
【斉藤】
いや、そこまで私も知識はありませんので。ただ、もんじゅも、さっきから、もったいない、もったいないという言葉を何度も使いますが、もったいないと言えばもったいない。ここまで来て、最後、ほんとうに増殖するかどうかというのを見るための実験だったわけです。
【歌川】
そうです。もったいないな。
【斉藤】
ここまで来たら、ちょっとそこまで実験して終わらせてもいいんじゃないかなと。私は技術者ですから、ついついそう。
【歌川】
文殊様に申しわけないですよ、やめちゃったら。
【斉藤】
という思いもありますが、核分裂論というのは、まさに核燃料というものが詰まっている。つまりエネルギー密度がものすごい高いところから、ちょっとずつエネルギーを取り出していく技術。再生可能エネルギーというのは、もうほんとうに薄い、散らばったところから少しずつかき集める。ある意味では核融合も、燃料をちょっとずつ出しながら核融合させていくという非常に拾い集めるような技術で、技術的に言えば、薄く散らばったものを集めるより、濃いものからちょっとずつ取り出すほうがフィージブルという感じは持ってます。
【高橋】
先ほどの先生の核燃料サイクルに絡む説明の中で、潜在核保有力、保有国であるというような、持っておくという、これは外交的にも安全保障に必要だという意見があると。これは自民党や民主党の保守派の人はそういうことをもう既に相当主張していますし、学界、学者でも、あるいは言論人、評論家でも、絶対そのためにも必要なんだと力説する人はいるんですけれども、先ほどのお話は、公明党内の党内論議で一部にそういう意見があったと、そういうことですね。
【斉藤】
はい。
【高橋】
どのぐらいの強さですか、そのウエートは。かなり強く?
【斉藤】
ごく一部、安全保障の専門家。
【高橋】
なるほど、わかりました。
【斉藤】
日本の再処理技術は最終的に出てきたプルトニウムに核兵器まで使えるような純度の高いものではなくて、わざと燃料として燃やすには十分だけど、核兵器として使うには全然不十分程度なものにつくるようになっていますが、しかし、純度を上げるのは簡単ですから。
【高橋】
ただ、核防条約に入っているでしょう、日本は。それを脱退しなきゃいけませんね、潜在核保有国になるには。
【斉藤】
もちろんです。
【高橋】
そうするとアメリカとの安全保障関係がぶっ壊れて、成り立たないんじゃないか。
【斉藤】
NPT体制の中にいるというのは、これはもう我々は大前提と考えています。
【高橋】
そうですね。
【斉藤】
はい。
【西崎】
要するに廃原発か縮原発か。今、世論調査をやれば、おそらく半々ぐらいでしょうね。
【斉藤】
いや、廃原発の方が多いんじゃないでしょうか。
【西崎】
廃原発のほうが若干多いかな。6対4ぐらいでね。
【歌川】
多いです。明らかに多いですよ。
【西崎】
将来的には、原子力発電には依存しない。提言されている自然エネルギー、地熱、メタルハイドレードまで含めれば、将来的にはそういう方向になるんだけど、ただ、時間がかかると思うんですね。ですから、先ほどからおっしゃった、例えば2050年になると日本の人口は1億を割っちゃう。そうすると、この長期展望は、日本の人口とエネルギー消費量というのは比例していくから、私は非常に妥当な見通しだと思うんです。問題は、さっきも質問したんですが、電力自由化ですね。今の9電力の地域独占、それから、送配電の一体化というのは非常に問題があるわけで、これはぜひ公明党としてそこにメスを入れていただきたいと思います。
それから、節約を冒頭に持ってきておられますけれども戦争中、私は中学生でしたけど、そのころは電力の重要性とか、大事さというのは身にしみて感じていました。今はもう使い放題。電力を節約する、エネルギーを節約していく。これは日本にとって、特に今の若い層にとっては非常に重要な教訓になるだろうと思うんです。その点で公明党さんがいろいろな提言をなさることを期待しています。
【斉藤】
ありがとうございます。
【高橋】
斉藤さんは小渕内閣のときの科学技術政務次官?
【斉藤】
はい。小渕内閣で科学技術総括政務次官。
【高橋】
公明党の党内というよりも、国会議員の中でもずば抜けたエキスパートで、大変見識がある方だと改めて認識しました。
【斉藤】
ちょっとまだ時間があるので、あと、簡単にご報告させていただいてよろしいでしょうか。
【大久保】
どうぞお願いします。
【斉藤】
1つは、選挙制度でございますけれども、今、衆議院も参議院も、最高裁から違憲状態だという判決を受けて、それぞれ次の選挙までに、今のままでやれば、今度は選挙無効になるということで、危機感を持って選挙制度の改革にそれぞれ参議院、衆議院で取り組んでいます。参議院のほうは、これまで西岡議長が非常に積極的で、全国比例区は残した上で、選挙区についてはブロック別にするという案。これは民主党の労働組合の出身の方も全国比例区が残れば安心ということで、かなり。かつ1票の格差是正も、今、県ごとにしていたら絶対5倍以上の差が出てきますから、その格差を是正するためにもブロック別でやるということはかなり受け入れられる方向で来たんですが、西岡議長がお亡くなりになって、今の平田議長は少し別なお考えをお持ちのようなので、県を残したいというお考えのようですので、ちょっとここは調整が必要になってまいります。
衆議院のほうは、今、私も党を代表して各党協議会に出させていただいておりますけれども、こちらは最高裁から小選挙区の数、各県で小選挙区の数をどれだけするかというときに、まず、300小選挙区のうち1つずつを各県に配って、残りの253を比例配分するということで、それが1票の格差の是正の根本原因だということで、一人別枠方式廃止、だめだと、これが最高裁判決の内容です。ですから、1票の格差是正をしなきゃいけないんですが、同時に、我々は国民の強い要請である定数削減もやる。
それから、選挙制度の抜本改革も今、一緒にやったらどうかということを少数政党はみんな主張しているところです。民主党と自民党はまず1票の格差是正を先にやって、その後、抜本改革について議論しましょうと。我々は、いわゆるその2段階論でいくと、1票の格差是正だけ先食いされて、抜本改革は結局、実行されないということなんで、一遍にやろうというところでぶつかり合っているところです。
公明党は連用制、小選挙区比例代表連用制というものを今、ベースに主張しております。これは今の選挙制度と基本的に同じなんですが、比例区の計算を少数政党に有利な計算にします。具体的には、ドント方式で、小選挙区の当選者プラス1から割っていくというドント方式なんですけれども、そうすると小政党に有利になりますが、今の比例区の定数を180のままでそれをやりますと少数政党に有利になり過ぎます。そこで、かなり比例区の数を削減する必要があります。そうしますと、少数政党にある程度有利で、少数政党にもある程度配慮して、かつ定数も削減できる。こういうことが可能じゃないかと。民主党もマニフェストを何も実行してないけど、せめて定数削減のマニフェストぐらいは実行しなさいよと、こういうことで今、迫っているところでございまして、今後どうなるかわかりませんが、頑張っていきたいと思っています。
【西崎】
私が取材していた1960年代から80年代当時に比べると政治家のレベルは非常に低下しています。魅力的な政治家がいなくなってきた。
【斉藤】
小粒になってきた。
【西崎】
その原因の1つは小選挙区制にあると思うんです。小選挙区制で、党の中央が候補者を決めて、そこでもう決まってしまう。党中央に服従せざるをえない。中選挙区制の場合は立候補者同士で随分政策論争があったんですが、なくなってきている。ですから、今の小選挙区制をできるだけ早く中選挙区制に戻して、同時に、さっきもブロックとおっしゃったが、思い切って道州制度を導入して、徹底的に地域主権を認めていく。ついでにあわせて首都機能も移転したらどうかということを私は提言しているんですが、先生に期待するところは大きいんです。
【斉藤】
最終的には中選挙区制、当面、移行しやすい連用制、最終的には、ほんとうに政治の今の劣化の反省に立った中選挙区制度等を目指して頑張っていきたいと思います。どうもありがとうございました。
【高橋】
どうもありがとうございました。
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| 主催:財団法人 公明文化協会 |
平成23年11月25日 |
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| ―― 了 ―― |
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